これからの生き方TOMORROWMIND JAPAN PRISM診断を受ける

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Reading guide — 特集

『これからの生き方』を、
いちばん効果的に読む方法

420ページを超える一冊です。順番どおりに読むだけが正解ではありません。この本がどういう順序で組み立てられているのか、どこでつまずきやすいのか、そしてあなたの目的からするとどこを先に読むべきか。読む前に5分だけ、地図を見ておきませんか。

結論から言うと、この本は「5つの力を1章ずつ解説する本」ではなく、「なぜその5つなのか」を先に納得させてから各論に入る構成になっています。前半(序章〜第3章)が土台、中盤(第4章〜第9章)がPRISMの各論、後半(第10章・終章)が個人から組織への展開です。前半で「話がどこへ向かうのか見えない」と感じる方が多いのですが、そこには理由があります。

Part 1

全体の地図 ─ 3つのパートで捉える

章番号を覚える必要はありません。この本は大きく3つのかたまりでできています。

PART

なぜ、いま新しい心の使い方が必要なのか

序章/第1章/第2章/第3章

働く環境がどう変わってきたのか、そのなかで人間の脳がどういう状態に置かれているのかを扱います。ここは「答え」ではなく「問いの設定」の部分です。急いで結論を探すより、前提を受け取る気持ちで読むと進みやすくなります。

読み方:細部を覚えようとせず、「脳は変わっていないのに環境だけが速く変わった」という一点をつかめれば十分です。
PART

PRISM ─ 5つの力の各論

第4章〜第9章

本書の中核です。レジリエンス、マタリング、ラピッド・ラポール、プロスペクション、創造性が、それぞれ独立した章として展開されます。この6章は、必要なところから読んでも理解できるように書かれています。

読み方:ここだけは、自分に関係のある章をゆっくり読んでください。1章読み終えるごとに、実践をひとつ選ぶのがおすすめです。
PART

個人から、組織へ

第10章/終章/付録

ここまでの話を、個人の努力の問題で終わらせず、組織や仕組みの側にどう実装するかへ広げます。人事・経営・チームリーダーの立場の方には、ここが最も実務に直結する部分です。

読み方:個人として読んでいる方も、ここを読むと「自分の職場で足りていないのは仕組みのほうだった」と気づけることがあります。

Part 2

なぜ冒頭が、一人の物語と脳科学から始まるのか

「つまずきポイント」は最初にある

序章は、ある一人の働き手が大きな失敗に直面し、そこから立ち上がっていく過程から始まります。続く第1章では、いきなり脳の話になります。この流れに「これはどこへ向かうのだろう」と感じる読者は少なくありません。実際、日本語版の監訳者まえがきでも、この構成が読みにくく感じられ得ることが最初に断られています。

著者が最初に手渡したいもの

著者たちは「適応し、生き残り続ける」という主題を、抽象的なスローガンではなく、一人のキャリアの軌跡として先に手渡そうとしています。理論から入らず、具体的な人生から入る。そのうえで、なぜ人間はこうも変化に弱いのかを脳の仕組みから説明する。この順序が理解できると、冒頭の唐突さは消えます。

ここだけ押さえてください。本書の土台にあるのは、私たちの脳が狩猟採集の時代に形づくられたまま、農業化・工業化を経て、いまテクノロジーによって加速度的に変わる環境に置かれている、という見方です。とりわけAIの進展によって、仕事の内容も、職業の寿命も、必要とされる能力も、短い周期で組み替えられていきます。脳の仕組みは劇的には変わらない。だから、環境の変化に耐えるための心の使い方を意識的に育てる必要がある。本書のすべての章は、この一点から出発しています。

翻訳についての前提

日本語版は、原著の構成や内容を大きく変更できない契約のもとで訳されています。そのため、日本の読者にとって前提が共有しにくい箇所も、原著の順序のまま残されています。監訳者はその点を踏まえ、まえがき・あとがき・付録で日本の文脈に接続する解説を加えています。本文で引っかかったら、まえがきとあとがきに戻る。これがこの本のいちばん効率的な読み方です。

Part 3

章ごとの読みどころ

各章が何を扱い、どこに注目して読むとよいかをまとめました。PRISMのどの力に対応するかも示しています。

変化の時代に投げ出された、ひとりの物語

一人の働き手が経験した大きな失敗と、そこからの立ち上がりを通じて、本書全体の問いが提示されます。理論の前に、生身の経験から入る章です。

注目点:この人物のどこが「よくある話」だと感じたか。そこがあなたにとっての本書の入口になります。
1

仕事における脳とは?

神経科学と進化心理学の視点から、人間の脳が何のために設計され、現代の仕事環境とどこがずれているのかを扱います。本書でもっとも専門的な章のひとつです。

注目点:用語をすべて理解する必要はありません。「ずれている」という結論だけ持って先へ進んで構いません。
2

2つの試練 ─ 労働における自動化と激流

働く人がいま直面している2種類の圧力を整理します。ひとつは自動化による仕事の置き換え、もうひとつは変化そのものの速さ(激流)です。

注目点:自分が感じている不安が、この2つのどちらに近いかを考えながら読むと、後半の章の選び方が決まります。
→ これからの仕事の記事を読む
3

私たちの歴史的優位性 ─ 繁栄の科学とは?

人類がこれまで困難をどう乗り越えてきたのか、そして「繁栄(フラーリッシング)」を科学的に扱うとはどういうことかを示します。ここでPRISMの土台が据えられます。

注目点:ここまでが前半のまとめです。読み終えたら、第4章以降は関心のある章から読んでも構いません。
4

レジリエンスの構成要素

PRISM ─ R:レジリエンス(回復力)

立ち直る力を、ひとつの資質ではなく複数の要素の集合として分解します。認知的敏捷性、感情調整、セルフ・コンパッション、社会的つながりなどが登場します。

注目点:「折れない強さ」ではなく「戻る速さ」として書かれている点。付録の24の質問リストは、この章に対応しています。
→ レジリエンスとは?
5

ミーニング・ラッシュ ─ お金ではなく、マタリングを求める理由

PRISM ─ M:マタリング

働く人が報酬以上に何を求めているのかを扱います。組織におけるマタリングが、エンゲージメントや健康にどう関わるかが示されます。

注目点:「自分がいてもいなくても同じ」と感じたことがある方は、この章から読むのが最短です。付録のOMS(組織におけるマタリング(重要感)尺度)はここに対応します。
→ 組織におけるマタリング(重要感)尺度(OMS)を受ける
6

ラピッド・ラポール ─ プレッシャーの中での関係性

PRISM ─ S:社会的つながり

時間をかけずに信頼関係を築く力を扱います。チームも取引先も入れ替わり続ける環境で、なぜこの力が要になるのかが説明されます。

注目点:人づきあいが得意かどうかの話ではなく、技術として扱われている点に注目してください。
7

ラピッド・ラポール2 ─ 時間的な豊かさ、シンクロニシティ、個別性

PRISM ─ S:社会的つながり

前章の続きとして、時間の感じ方や同期性、一人ひとりの個別性を通じたつながりの作り方を掘り下げます。リモートワークが日常になった環境と相性のよい章です。

注目点:会話を長くするのではなく、深さを一段上げる具体策を探しながら読むと、実務に落ちます。
8

プロスペクション(未来予想力)─ 21世紀における超越した力

PRISM ─ P:プロスペクション

人間が未来を思い描く働きを、本書は特別な位置づけで扱います。過去を記憶する動物であること以上に、先を思い描く動物であることが、人間の強みだという視点です。

注目点:「予測を当てる」話ではありません。複数の未来を並べて比べる作業そのものが力だ、という点を押さえてください。
→ プロスペクションとは?
9

すべての人が創造性を発揮する時代

PRISM ─ I:イノベーション(創造性)

創造性を一部の才能ある人のものとせず、誰もが発揮しうる働きとして扱います。生成AIが普及した環境で、人間が問いを立てる側に回ることの意味が語られます。

注目点:「新しいことを思いつく」より「既にあるものを結びつける」という捉え方が中心です。
10

働く人の未来への備えとは?

ここまでの5つの力を、実際のキャリアと働き方にどう組み込むかを扱います。個人の実践から、より長い時間軸の話へ移る章です。

注目点:キャリアを職業名ではなく能力の発達過程として捉える視点が示されます。転職やリスキリングを考えている方はここを厚めに。
→ これからのキャリアの記事を読む

プロアクティブな組織

個人の努力に還元せず、組織の設計としてPRISMをどう支えるかを論じます。人事制度、マネジメント、職場文化の話です。

注目点:個人読者にとっても、いまの職場に足りないものを言語化する材料になります。
→ 人事・HRの方へ

監訳者まえがき・あとがき/付録/参考文献

日本語版だけに収録されている部分です。まえがきは読む前に、あとがきは読み終えたあとに。付録には実践のための質問リストと心理テストが収められています。

注目点:本文が難しく感じたときの帰り道になります。日本の労働環境に引きつけた解説は、ここにしかありません。

Part 4

目的別・読む順番の5ルート

前半(序章〜第3章)を読んだあとは、あなたの状況に応じて順番を変えてかまいません。

① 失敗から立ち直れないとき

第4章 → 付録24の質問 → 第5章 → 第7章

回復の要素を分解してから、意味と関係で支える順序です。付録の質問リストを手元に置いて読むと効果が上がります。

② 働く意味を見失っているとき

第5章 → OMS診断 → 第10章 → 終章

まずマタリングの章を読み、診断で現在地を見てから、キャリアと組織の話へ広げます。原因が自分ではなく環境にある場合が見えてきます。

③ AIやキャリアの先行きが不安なとき

第2章 → 第8章 → 第9章 → 第10章

何が起きているかを整理し、未来を描く力と創造性で受け止め、キャリアの設計へつなげるルートです。

④ チームや部下を支える立場のとき

終章 → 第5章 → 第6・7章 → 第4章

組織の設計から入り、メンバーのマタリングと関係づくりへ降りていきます。制度と現場の両方に手が届きます。

⑤ とにかく時間がないとき

監訳者まえがき → 第3章 → PRISM診断 → 得点の低かった章

全体像を10分で把握し、診断で自分に必要な章を特定してから、そこだけ読む方法です。まず一冊を使い始めることを優先します。

Part 5

読み方のコツ 7つ

01

先に診断を受けてから読む

自分の得点が低かった力の章から読むと、内容が自分ごとになります。読む前と読んだあとで受け直すと、変化も見えます。

02

1章につき、実践をひとつだけ選ぶ

この本には実践が数多く出てきます。全部やろうとすると続きません。1章読み終えるたびに、ひとつだけ選んで1週間試すのが現実的です。

03

難しい箇所は飛ばして、後で戻る

とくに第1章の神経科学と、統計・研究の記述は、細部を追わなくても後の章は理解できます。止まるより進むほうが、結果的に理解が深まります。

04

登場する事例を、自分の職場に置き換える

原著はアメリカの職場を前提に書かれています。「これは日本の自分の職場だと何にあたるか」と一行だけメモしながら読むと、理解が定着します。

05

PRISMの5文字を覚えておく

Prospection(未来)、Resilience(回復)、Innovation(創造)、Social Connection(つながり)、Mattering(マタリング)。この5つを覚えておくだけで、どの章を読んでいても現在地がわかります。

06

誰かと読む

本書が扱う力の半分は、人との関係のなかで働くものです。同僚やチームで章ごとに読み合わせると、内容が実際の職場に移りやすくなります。

07

読み終えたら、あとがきをもう一度読む

監訳者あとがきは、本書の内容を日本の労働環境に引きつけて整理した部分です。読了後に読むと、全体が一本の線でつながります。

Part 6

付録の使い方

日本語版の巻末には、読んで終わりにしないための道具が収められています。

レジリエンスに関わる24のスキルを引き出す質問リスト(第4章対応)

自分らしさ、認知的敏捷性、感情調整、共感、焦点化、栄養、運動、休息、セルフ・コンパッション、社会的つながり、人間関係の構築、成長志向、希望、統制の所在、楽観主義、自己認識、自己効力感など、レジリエンスを構成する要素それぞれに、ひとつの問いが用意されています。

使い方の提案:24問を一度に考える必要はありません。第4章を読んだあと、いちばん気になった1問だけを選び、1週間その問いを持ち歩いてみてください。答えを出すことより、問いが頭のどこかに置かれている状態のほうが効きます。チームで使う場合は、1on1やふりかえりの冒頭に1問だけ使う形が向いています。

3つの心理テスト

読む前と、読んだあとに。

巻末には3つの心理尺度が収録されています。読む前に受けて現在地を把握し、読み終えたあとにもう一度受けて変化を見る。この使い方がもっとも効果的です。当サイトでは、それぞれをオンラインで受けられるようにしています。

※ 3つの尺度はいずれも無料・登録不要でご利用いただけます。診断一覧はこちら

参考文献・出典のページ

巻末の参考文献は、本書の主張がどの研究に支えられているかをたどるための入口です。気になった記述があったら、該当箇所の出典を1本だけ引いてみると、理解の解像度が大きく変わります。すべてを追う必要はありません。

FAQ

よくある質問

どこから読むのがよいですか?
通読するなら順番どおりが基本ですが、いま困っていることがはっきりしている場合は該当章から読み始めても理解できます。レジリエンスなら第4章、仕事の意味なら第5章、人間関係なら第6・7章、未来の描き方なら第8章、創造性なら第9章が中心です。
冒頭の脳科学の話が難しく感じます。
第1章は本書全体の土台を示す部分です。「脳は狩猟採集の時代から大きく変わっていないのに、環境だけが急速に変化している」という前提だけ受け取って先へ進み、後から戻るのが効率的です。
心理テストはどのタイミングで受けるべきですか?
読む前と読んだあとの2回が理想です。読む前に受けると、どの章を優先すべきかが決まります。読んだあとに受けると、変化が数字で見えます。3か月後にもう一度受けると、さらに傾向がつかめます。
PRISMの5つの力は、どの章に対応していますか?
レジリエンスが第4章、マタリングが第5章、ラピッド・ラポール(社会的つながり)が第6章と第7章、プロスペクション(未来予想力)が第8章、イノベーション(創造性)が第9章です。
心理学の知識がなくても読めますか?
読めます。専門用語には説明が添えられており、日本語版では監訳者による解説も加えられています。研究の細部が難しいと感じたら、結論の部分だけを拾って進んで構いません。
チームや研修で使いたいのですが。
章ごとの読み合わせと、付録の質問リストを組み合わせる形が向いています。診断結果をチームで共有する場合は、点数の比較ではなく「どの力を使う場面が多いか」の対話に使うと、心理的安全性を保ったまま進められます。

このページについて

  • 執筆:これからの生き方 編集部/監修:徳吉陽河(『これからの生き方』監訳・解説)
  • 本ページは書籍本文の再掲ではなく、読者が本書を読み進めるための独立した解説として書かれています。
  • 章タイトルおよび構成は日本語版に準拠しています。
最終更新:2026年8月28日